宮坂宥勝猊下を偲んで
1月11日は、岡谷市の照光寺前住職宮坂宥勝猊下のご命日であります。ご遷化されてより3年が経ちます。
宮坂宥勝猊下は、平成11年より約8年間、京都の総本山智積院に真言宗智山派管長・総本山智積院化主第68世としておられました。
私は平成14年より約10年間総本山智積院ならびに宗派の宗務庁に奉職しましたが、その中で1年3カ月、侍者として猊下のお傍にお仕えさせていただいた時期があります。
猊下が総本山におられた8年間には、何人もの秘書・侍者が尊い使命をいただき、お仕えをしてまいりました。
ご命日の前日には、今は全国各地に離ればなれになっているそのメンバーが諏訪に集まり懇親の会を開き、猊下を偲び、各々が仕えし頃の貴重な想い出が詰まった宝箱を開け、唯一無二の想い出を語り会う夜となりました。
浅学であり人間未熟な私が偉大な猊下にお仕えした1年3カ月の間、誠に多くの経験そして貴重なお言葉を頂戴しました。
どんな話の中でか思い出せないのですが、猊下がこのように仰られたことがあります。
「焦らなくていいです。『未完』ってのはとてもいいことなんです。可能性があってワクワクしていいんですよ。」
強く私の印象に残る猊下の言葉のひとつです。
私たちの依止師であり導師であり、そして様々な縁をもった大変に多くの方が「先生」とお慕いしている猊下は、まるで生き仏のような御方でありました。
本日の命日、照光寺にて追悼法要が営まれ、私もご供養に参列させていただくことが叶いました。
法要後の斎食の席では、それぞれのご縁者が代表で想い出等のスピーチをしましたが、どなたがお話することも猊下のお姿を誠に鮮明に思い浮かべることができ、会場のすぐそこに猊下が居られるような不思議な感覚を得ました。
照光寺の大大黒様。米寿を迎える猊下の奥様が句集を発刊され、それを手にして拝読させていただくことができました。
なんとも有難い。
宮坂宥勝猊下、聞こえておられますか。
今も私たちは猊下から授かったご縁で豊かな時を過ごすことができております。
感謝の念に堪えません。
合掌
京都、名古屋、栃木、県内御代田などからご供養に参列した元秘書と侍者たち