仲良くお元気で
お寺に水子供養に訪れたのは、礼服姿の若いご夫婦でした。
かわいらしい器に収められた小さなお骨を包むようにして両手に持ち、二人は静かに本堂に入りました。
私の読経ばかりではなく、三人で唱えようと「智山勤行式」を紹介し、一緒に唱えていただきました。
ご夫婦ともに声を出すことで少しでも安心になればと。
ご葬儀、回忌供養、それぞれに悲しみに包まれ営まれる法事が多々ありますが、水子への悲しみを背中に感じての読経というのは、自身何度も経験した事ではありません。
共にこの世に生きた人との縁が断たれる悲しみ
共にこの世に生きることの叶わなかった命との離別
どちらにもあらためて、命の大切さを考えさせられます。
若いご夫婦には、まさに体験をもって知り、命を大切にされてお寺まで来てくださったのでしょう。
読経の最中、「計り知れない」お二人の辛さと「命の重さ」が胸に染みてきます。
40分ほどのご供養を終えると、お二人は笑顔でお布施を手にしてありがとうございましたと御礼をして下さいます。
お辛いのに爽やかに接して下さり、これもお布施なのかなと恐縮します。
なにかと深く尋ねることはできませんでした。
ご法話や特にお話をすることはできませんでしたが、とにかくこの先二人仲良くいてほしいと思いました。
若いご夫婦、とてもお辛い体験、その時間を共有されています。
「今後二人が仲良く過ごすことで、再び力を蓄えて下さい。」
とだけ申し上げました。
命を感じる経験が、二人を一層優しく、そして強くして下さいますよう願います。
どうかご夫婦支え合い、仲良くお元気で。
今、境内ではたくさんの桔梗が夏の陽を浴び元気に咲いております。
花言葉は『変わらぬ愛』
8月17日には毎年送り盆恒例のお御霊を送るナイトコンサートが本堂であります。
このHPをご覧であれば、また一緒にいらして下さい。
合掌