写経について
このたびお寺の彼岸行事「春彼岸のつどい」が行われました。
そのなかで一時間ほど般若心経の写経をいたしました。
お寺の常の写経会に参加されている方は、数十年間続けておられる方ばかりです。
般若心経の写経に慣れているので、ある程度ご自身のペースを把握されてます。
このたび、初心の方やお若いご夫婦がお越しになり、写経の体験をしました。
写経の実践で、時間をかけてゆっくりとお経の字をなぞることは身心を整えること、
また癒しにもなると紹介するのですが、初体験の方にとっては達成感こそあるものの、
張り詰めた空気のなかの緊張した筆の扱いに、相当な疲れもあるようです。
大勢で行う場合、どうしても隣の方の筆の進む音、周囲の様子が気になり、
心が落ち着くどころではないようです。筆に不慣れな方であればなおさらでしょう。
お写経をやって良かったと思ってもらいたいのですが、まずは筆の進みの速い遅い、
字の上手下手、ましては仕上がりの綺麗、汚いという見方を払拭することだと思います。
以前、写経で大切なことは、ただ素直に字をなぞり続けることだと教わりました。
そのことは、自我から離れることとして捉えております。
私はそれに加え、一度書き始めたらなんとしても最後まで書き上げることが、
ひとつ大切なことなのかなとも感じております。
初めて書き上げた方に達成感が得られたのだとしたら、時々はそれを再体験すること、
さらには自身のペースで続けることができればもっとも良いのかもしれません。
継続して写経をされている方には、その場に独自の安定感を確立していると感じます。
当然、その行為が癒しとして働き、精神的な価値が生れていると思うのです。
お寺から写経用紙を多めに持ち帰り、自宅でひとりゆっくりとすすめる方もおられます。
素晴らしいことだと思いますし、写経を楽しむとても良い方法であると思います。
半分まではご自宅で書き上げ、残りをお寺の写経会で書きあげる方もおります。
写経をすすめる型はひとつではないので、ご自分で継続できるペースが作れるように、
楽しみのひとつとして体験してほしいと思います。
お寺にはその環境づくりが求められ、これからも考えていこうと思います。
合掌
<真福寺写経の会>
4月~10月、毎月25日午前9時より 客殿にて
どなたも無料で参加できます。気軽にお越しください。