如実知自心
身を犠牲にした長年の苦行にも世の真理に到達することのなかったお釈迦さまは、
その末に苦行を離れ、
『解脱を得るまでは、決してこの座を離れることはない』
と、強い覚悟と穏やかな心をもって禅定に入ります。
インド、ガヤーの菩提樹の下での長い長い瞑想でありました。
長い禅定の末、明星輝く頃、真理を悟ったと伝えられております。
お釈迦さま35歳、日本では12月8日であったとされています。
仏教会ではこの日に「成道会」を営み大切にいたしております。
お釈迦さまは煩悩が生み出す迷いを払い、仏性に目覚めました。
仏性は誰しも有するとされていますが、それが見えぬ感じぬように
私たち人は執着し迷い、多くの煩悩に「支配」されています。
仏性を満月に例え、それを覆い隠す雲を煩悩に例えることもあります。
お釈迦さまは仏性が開花しましたが、それは煩悩を消滅したのでしょうか。
それとも、煩悩の働きをよく理解して受け入れた末に仏となったのでしょうか。
『如実知自心』という言葉があります。
自分の心を正しく知ることです。
心の働きをよく理解することです。
本当の自分に出会うことです。
揺るぎない本質の「自覚」と「覚悟」であります。
私は、お釈迦さまはまずここに達した人なのだと感じています。
そしてそこから限りなく展開していかれ、やがて真理を悟られたのだと。
その後の生涯をブッダ(悟りを開いた人)として精進し、慈悲深く接して過ごされました。
日頃の私たちにとって、常に移り変わる「心」は、もっとも近くに在りながら
遠く離れた「不如意」なものになっています。
故に心体一致して整え、よく保たれた生活は遠く及ばない。
12月を迎えました。
今年一年を省みるひと月であります。
お釈迦さまの教えをもとに一年を振り返るのは、とても良いことだと思います。
「清濁」を受け入れ、反省、感謝すべきことがたくさんあることにも
きっと気づけるはずです。
平成29年、感謝の完走成就を。
合掌
お釈迦さまの教え
「とらわれない心」
諸行無常・・・すべては移り変わる
諸法無我・・・すべての物事に実体はなく、
「心の在り方」と「因縁」によって生じ、そして移り変わる。
お釈迦さまの苦行のお姿