生きる力
4月―。境内の枝垂れ梅の花が綺麗に咲いています。
お釈迦さまのご生誕を祝う仏教行事、花まつりが各地で行われております。
いまは花咲き香る季節。
真福寺境内の枝垂れ桜の開花は今月20日頃と思われます。
楽しみにお待ちください。
こちらは、真言宗智山派が掲げる「教化目標」の啓発ポスターです。
作画されたのは、千葉県に在る本宗寺院の僧侶です。
とても素敵な、仏さまとともに生きる心の温かみが伝わる描写であると感じ、
ここに解説文を抜粋して紹介させていただきます。
今年度のポスターは、菩提寺で行われる年中行事をちりばめた絵で表現しました。
このポスターを見て、先ず目に飛び込んでくるのが法輪です。
これは年中行事をとおして四方八方のあらゆる方々に仏の教えが行き渡るようにという
意味をこめています。とくにお釈迦さまの教えを表す法輪は、「花まつり」「成道会」も
表します。法輪が雲に乗っているのは、合掌された所(合掌された手が描かれて
おります)に雲に乗ってすぐにどこにでも飛んでいくよというイメージです。
そして川の両岸は此岸と彼岸で「彼岸会」を、蓮は「盂蘭盆会」を連想させます。
空には北斗七星をはじめ星々が輝き「星まつり」を表します。
彼岸(向かって左の岸)にいらっしゃるお大師さまは「青葉まつり」。
此岸(向かって右の岸)のお堂では「大般若会」や「施餓鬼会」が行われ、
鐘楼堂では「除夜の鐘」が撞かれます。
太陽にはバン字、月にはア字が描かれ、金胎の大日如来を表します。
さまざまな生き物が太陽や月で表された大日如来に祈っています。
親子のカメが表す「親子愛」。無事「帰る」、幸運が「返る」、さらにカエルは
子孫繁栄も表します(水面におたまじゃくしが見えます)。
鶴と亀で「長寿」。
では芋虫はなにを表しているのでしょうか。
太陽に描かれたバン字金剛界大日如来と対峙し、蓮と共にバン字
(よく見るとバン字に見えます)となり、即身成仏を表しています。
他にも太陽(仏)・法輪(法)・蓮(僧)で三宝を表したり、お釈迦さまの舎利を
祀るストゥーパや五大を表す五重塔など、仏の教えを色々なかたちで
表現しています。
このポスターを見て、年中行事が描かれているとは一見わからないかも
しれませんが、この解説をもとに檀信徒の方々と語り合っていただくよい機会に
していただきたいと思っています。
そして檀信徒の方々がお寺の行事に参加され、手を合わせ、仏さまに祈り、
仏さまと出会い、生きる力を感得していただきたいと思っています。
以上、本宗『教化目標啓発ポスターの解説』より抜粋
さて、真言宗智山派は教化目標(わたしたちの目標)として、
『生きる力ー仏さまに祈り、仏さまと出会う』を掲げております。
生きる力とは何でしょうか。
人によってこの捉え方、解釈は異なるかもしれませんね。
日々を生きるエネルギーとなっているものも、
おそらく人によりけりでしょう。
お釈迦さまは人の本質に仏性が備わることを知り、
その時代を生きた人々に対し、
仏性に気づき、触れ、目覚める生き方を説き広めました。
仏さまとともに生きる命、仏さまに出会える生き方。
自らを拠り所とし(自灯明)、教えを拠り所とする(法灯明)。
そこに「生きる力」があるのだと伝えてくれています。
生きる智恵という解釈もできるのかもしれません。
このポスターの絵にあるように、仏さまとその教えは世に遍満し、
身近なところに感じ、祈り、感謝し、
その出会いは悦びとなり生きる力ともなるのだと思います。
それが仏教であり、日常に寄り添える2500年以上絶えることのない教えです。
私たちの日常、時々訪れるお寺の行事、そのなかで、
ふと仏さまを感じることのできるような瞬間があれば幸せですね。
4月8日は、お釈迦さまご生誕の日です。
合掌
※ポスターは真福寺客殿に掲示しております。