六大の響き
このたび、諏訪市博物館にて、高野山真言宗、真言宗智山派、
それぞれの若手僧侶による声明、そして御諏訪太鼓伝承者である
山本麻琴さんとの共演コンサートを行いました。
『六大の響き』という名のもとに開かれたコンサート。
高野山金剛峯寺を総本山とする、高野山真言宗『六大』の皆さまによる
南山進流の声明。
京都東山の智積院を総本山とする、真言宗智山派『谷響』による智山声明。
そして、宗家小口大八氏が復元し新たに築かれた御諏訪太鼓は、時代を超えてなお
諏訪の平に響き続け、伝承者山本さんの情熱により全国各地さらには海外に届き、
皆に愛され守られている「諏訪の響き」です。
これら3つの共演が、会場に足を運んで下さった多くのお客様を前に実現しました。
同じ真言宗といえども、長い歴史に分派されていくなかで、現在に伝わる諸作法、
身に着ける法衣、そしてお経の唱え方など異なる点がいくつもあります。
ご来場のみなさまに各宗派が唱える声明の違いを見聴きし楽しんでいただくこと、
御諏訪太鼓の響きと共に会場が一体となることがテーマであったように思います。
六大の代表者、諏訪の古刹仏法紹隆寺の岩崎宥全御住職にお誘いをいただき、
私たち智山派の若手僧侶にも貴重な経験の場を用意して下さいました。
長野県内の高野山真言宗若手僧侶で構成される六大の皆さまは、
毎年声明コンサートの演出を重ねており、そんな先輩方と共演させていただけることは、
自身とても楽しみでありましたし、智山派の私たちにとって良い刺激となり、
成長の機会となりました。ありがとうございました。
このたび感じたことは、声明コンサートは声明を手法とした「布教」だということです。
若手僧侶に課せられた担いのひとつ、布教活動。
様々な手法があるかと思いますが、声明を聴いていただくなかでお客様に語りかけ、
お客様と心通わせながら、仏教や僧侶を身近な存在として感じてもらう。
これからもそんな布教活動を大切に考えていきたいと思います。
六大のみなさん、山本麻琴さん、諏訪市博のみなさん、ご来場のみなさん、
また会いましょうね。
合掌