樹の根
日本でラグビーワールドカップが開催されています。
ラグビーのルールはわかりませんが、各国代表選手の大きな体が激しくぶつかり合い、
一丸となり敵陣に進む勇姿に感心をもって、テレビ観戦しています。
少し前、企業のラグビーチームの成長を描いたドラマが最終回を迎えました。
そのなかでこんな言葉がありました。
『いま一輪の花が咲いたとしても、その根が腐っていれば、
やがてすべて枯れてしまう。』
私たちの日常は、手にするもの、目に映るものに価値をつけて生活しがちですが、
実は目に映ることのない多くにも因や影響を受けいて、
支えとなる大切な部分は、姿を見せていないのです。
建築物の柱なんかはその一例。
人生に巡るご縁もそう。
仏教で捉えると、それは拠り所としている「法」であったり、
「彼岸」であったりするわけです。
幹が成長し、枝葉が茂り、実をつけて花咲かせる多くの樹々。
その樹の根は見えませんが、根を「ご先祖さま」に例えることもできます。
たくさんの花も実も、雨風にさらされて倒れることのない幹も、
その陰にあるのは、土のなかに張っている根。
ご先祖さまへの供養の心は、目に映らない世界に向けるのみではなく、
いま生きている私たちの栄養にもなり、慈悲の芽となり、長い時間をかけて
成長してつながっていくものであります。
いまは秋のお彼岸。
お彼岸は、此岸から彼岸への心のバトン。
ラグビーのルールをひとつ知りました。
前へ進むには、自分より後ろにしかパスが出せないんですね。
心のバトンも、私たちの後に続く人達へつなごう。
合掌