童心
小学2年生の娘が学校でまん丸のどろ団子を作り、
まわりに砂をつけて、つるつるすべすべにして固め、
ピッカピッカに光っていました。
とてもどろ団子には見えないほど綺麗な玉。
それは家の自分の机に、丁寧に箱に入れて、
長いこと大切にしまってありました。
すごい執着で他人は触らせてはもらえません。
その箱は、自分の大切な「宝物」を入れる箱のようです。
大人の私から見ると、どこが大事なんだか、宝なんだか、
理解し難いものばかりがいくつも入っています。
そのひとつが、どろ団子・・・。
2歳の娘がその箱を見つけ、中のどろ団子が気になって仕方なく、
隙あらば、机から箱を出して、どろ団子に手をつけようとします。
宝箱の持ち主は常に警戒しています。
先日、目を離したとき、娘はついにどろ団子を手にしました。
2年生の娘が気づき、慌てて取り上げ、息子に渡します。
『触らせないように持ってて!!』
弟に任務を課します。
ところが息子にとって、どろ団子はまったく興味のないもの。
任務を遂行することなく、机にポイ。
そして、どろ団子は再び2歳の娘の手に。
姉は大慌てで取り上げようとしますが、
時遅し!
娘は反射的に、それを壁に向けて投げてしまいました。
長いこと宝物として収められていたピッカピカのどろ団子は、
砕けてしまったのです。
2年生の娘は、大泣きです。
どろ団子が壊れたことで、久しぶりの大泣きです。
どろ団子への分厚い執着が涙となり溢れだします・・・。
任務を放り出した弟は困った顔。
この後、どろ団子(ごとき)で喧嘩になるのかな?
こどもの心を無視して、笑ってしまいそう。
その時でした!
2歳の娘が割れたどろ団子を拾って、口に入れてもぐもぐしてます。
どろ団子を食べて口の中がまっくろになり、
なんとも言えぬ険しい顔になってます。
ずっとお菓子だと思っていたのですね。
それを見た2年生の娘が、一転笑い出しました。
こんな決着があるんですね。
大人は、やっと我慢を解いて笑えました。
童心っていいですね。
宝を創り出せる心を持ち、
人を許す心を持つ。
執着がいつか尖ることを知らず、
成長のエネルギーになっているのですから。
合掌