片倉兼太郎家憲
1月の言葉の力には、岡谷製糸繁栄の一時代の礎を築かれた先人、
初代片倉兼太郎氏の家憲を紹介しています。
『己に薄うして人に厚うする事』
神仏を深く敬ったとされる初代片倉兼太郎は有数の神社仏閣に御寄進をされ、
出生地川岸村の檀那寺であった当山も、寺門興隆の為に誠に厚い支えを賜ったそうで、
そのお陰が今日まで継承されているのだと聞いております。
お寺の廊下には家憲が大きく貼られていて、一族の「精神」が常に目に留まります。
初代片倉兼太郎は、
「本業に精進し、漸次(物事の移り変わり)時をみて進んでいけば、
牛の歩みのように遅くても、いつか必ず彼岸(目的)に達する」
と伝えらたそうです。
まず本業に精進というのは、家憲の内容からすると、自分の日々従事する仕事を
「天職」として授かった事と受けとめ、真摯に務めを全うすることを心得としています。
そして、己に薄うして人に厚うするとは、まさに仏教でいう「利他」の精神です。
自分本位ではなく、他人の喜びや成長をまず先に考えること。
しかしながら利他は「自利あっての利他」でもあるため、己を高めないことには
人の満足、利他の成就はありません。
私がいまの仕事や使命によって人様のお役に立てるようになるには、
全くもって足らぬことばかりで、まだまだその道のりは遥か遠い。
今年も学びの経験多き一年にするのだと、自らを励まして精進します。
牛のように歩みが遅くても、目的に向かい努めてまいります。
合掌