忌明け
夕方、写経がしたいと一人の女性がお寺を訪れました。
初めての写経体験とのことでした。
納められた写経の最後には他界されたご家族のご戒名が。
一人静かに追善供養をお勤めになられたのですね。
あとで感想を尋ねると、彼女が自分と向き合う機会であったとも。
この日は、旅立たれたお父様の満中陰忌供養があった日。
そして昨年亡くなられたお祖母ちゃんの誕生日でもあったそうです。
菩提寺でのご法事に続き納骨も済まされたあと、いまいちどお寺に来て、
気持ちを整理するように、ゆっくり時間をかけ丁寧なお写経をされました。
その姿に亡き人の「徳」を感じました。
同じように、残されたご家族もまた徳を積んで前に進もうとしております。
満中陰忌の節目はお別れではなく、生きていく者と旅立ちの御魂が仏縁を結ぶ日。
ご浄土から微笑むご家族、ご先祖のお顔が浮かびます。
たくさん悲しんだ分、きっと心は耕され、新しい芽が育ち始めるのですね。
ご家族の笑顔と優しい言葉が印象的だった満中陰忌。
ありがとうございました。
合掌
真福寺ではいつでも写経体験を承りますのでご相談下さい。
菩提寺に限らず、お近くに足を運べるご縁あるお寺がございましたら、
たった一度でも、ゆっくりと時間をかけてお写経されることをおすすめします。