寺平に咲いた彼岸花
平成30年と令和元年、それぞれ春から初夏にかけて、
一緒に寺平をお参りしたお檀家様が、興教大師像両側の土を掘り、
彼岸花の球根を並べるように植えて下さいました。
昨年の秋まではそのどれも芽を出すことがなく、半ば諦めかけていたのですが、
今年9月中頃にお参りすると、一輪だけが伸びているのを見つけました。
寺平は岡谷市川岸の高尾山麓に位置し、真福寺の発祥の地として伝わる場所です。
祀られる興教大師は真言宗中興の祖とされる学僧で、真言宗智山派寺院にとっては、
宗祖弘法大師とともに信仰、崇拝する祖師であります。
普段ほとんど人が立ち入ることのないこの山中に、ひっそりと祖師は祀られており、
石像台座には「昭和三十三年」と刻まれ、裏側にはその当時の施主の方々の
御尊名が残っております。
去る平成8年、真福寺新伽藍落成の年、役員の方々がお参りしたのを最後に
ここを訪れる人はほぼ途絶えていました。
あるきっかけから、5年前より再びお参りするようになり、繰り返し足を運んで
下さるようになった方が、色を添えたいと植えてくださったのが彼岸花です。
先日、彼岸明けに再度お参りすると、その一輪は綺麗に花を咲かせていました。
布施の心が、いままでこの辺りには見られなかった色となって祖師にお供えされ、
誠に有り難いことと思っております。
来年の秋、聖地にもう一輪二輪と姿を見せてくれるでしょうか。
来たる10月10日(日)午後2時からの月例日曜仏教会。
「秋季寺平を歩く~真福寺発祥地まいり~」
と題した行事のなかで、お檀家様を中心とした希望の皆様と一緒にお参りする予定です。
山歩きという「信州人らしい」楽しみとしても、ここを訪ねる意義を感じています。
自然に触れ秋を感じながら祖師を目指し、身心健康を願えるお参りとしたいです。
歩きのなかに祈りがある。とてもよいことではないでしょうか。
合掌