響き~そこに喜びがあるか~
本当によいものとは、人を介して拡がっていく。
一人で多くに拡げるには「限界」がある。
ここで言う限界とは、よいものをよいままに保つという意味での限界です。
例えば、自分のもとに大変価値のある「鐘」があるとします。
その鐘の音をより遠くまで、より多くの人に響かせたいとするならば、
よほど強く打つ必要があります。
しかし、鐘とは強く打ちすぎると、よき音色を損なうものです。
鐘を打つ本人がもっとも近くでその音を聞くこととなります。
さて、どちらを選びますか。
鐘の価値を広く知らしめるために、より大きな音を鳴らし遠くまで響かせますか。
それとも強弱の塩梅によりその鐘の「もっともよい音」を知り、その強さで打ちますか。
この時に重要なことは、本人に苦がないこと。
もっとも近くにいる本人が良い音を実感し、そしてそれを信じていることです。
「自分自身が喜べているか」
という一点は、けして曖昧にしてはいけないことです。
こういったことは、例えた鐘に限らず、何事も同じではないでしょうか。
「自己満足」とはどこか否定的に捉えられがちですが、実は大切な要素。
他人の反応に精神をすり減らし過ぎて、自分自身の満足が置き去りに
されている風潮があるように思えます。
それはきっと不満を溜めるもととなり、気がつけば大切にすべきであった他人を
批判したりしているものです。
無理をし過ぎずに、まずは「自分満足度」を見つめ直すことも大切でしょう。
そして、自分がよいと思えるものを身近な人から急がず丁寧に届けていく。
簡単に遠くに、広くに、そして速くつながることが可能になった世の中だからこそ。
本当によいものは、きっと「人を介して」拡がっていきます。
価値は人により守られ、その価値を求める人達と不思議とつながるものだと思います。
何事も自分ひとりで背負いすぎることなく、緩みすぎず張りすぎずに、
ささやかな喜びを実感しながら過ごしたいものです。
合掌