座布団
客殿と本堂脇間の押し入れには、200枚近い座布団が収納されています。
20年前のご葬儀、法事の参列者には、まだこの座布団が使われていました。
同じく、その後のお斎食には客殿大広間に座布団が並びました。
平成10年代後半には、お寺のご葬儀、法事はすべて椅子席に変わり、
最大200席も用意できるようになりました。
そんな変化が進むなかにも、客殿でのお食事の席では、まだ座布団が使われていた
ように記憶しています。
平成20年代半ばになると、客殿もすべて椅子席へと移行していき、
平成時代の終わりには、当山において座布団を用いる機会がほぼなくなりました。
唯一、座布団が残るのが、我々がお経を唱える席のみです。
葬儀等の参列の際は椅子がいいけど、語らう食事の席は座布団が落ち着くんだよと
仰られる方もなかにはいるのですが、コロナ禍になると、葬儀法事後の会食の設営は
ほとんど要望がなくなり、全体的な参列人数そのものが激減してしまいました。
今後、参列人数が以前の状態にまで戻るということが、どうも想像がつきません。
ましてや、客殿広間をいっぱいに使った大人数の会食の席があるとも考えにくい。
押入れを開けると、役目を終えた多くの座布団たちが寂しく重なったまま・・・。
必要とされる機会を生まない限り、おそらくそこを出ることはないでしょう。
何かよい活用の仕方はないものでしょうか。
時代を懐かしむように座布団に落ちつける場を作りたい。
合掌