花まつりと写生会
4月8日はお釈迦さま御生誕の日。
仏教界において三仏忌として崇められる一日です。
真福寺では今月24日(日)に灌仏会を行います。
今年も花咲く時期に「布教メッセージ散華」を書き始めました。
散華をお渡しできる機会は、4月24日(日)の花まつりと、
今月、枝垂れ桜の夜間ライトアップ期間中です。
さて、今年の花まつりはいまだコロナ禍にあり、「沈黙」をテーマに
何か行ってみたいと考えていました。
なんとなく暗いテーマですが、沈黙から生み出されるエネルギーが目的です。
それは写生会。
自分の好きな角度から自然を眺め、その命に溶け込む時間をもつ。
何やら難しいことを述べてますが、このご時世でこその目的です。
京都の智積院に努めていた当時、宗教界、仏教教学の第一人者であられた
化主猊下(2011年1月ご遷化)のお傍に侍者として仕えさせていただいた
時期がありました。
御年八十の猊下は時折、公務の合間にスケッチブックを手にしてお出掛けになり、
お気に召した場所を見つけては腰を下ろし佇み、静かにその風景、
対象を描いておられました。
私は邪魔にならないように後ろの方でこ様子を眺めながら、
同じく描く時間をいただきました。
猊下は時々手を休め、お話を聞かせてくださるのです。
ある歌人の話、高野山に居られた当時のことや幾度と旅したインドでのこと、
戦時中のこと、そして猊下の故郷である諏訪、岡谷のことなど。
近くを通りがかる人達は、猊下の絵が目に入ると立ち止まるのです。
猊下の周りに人集りが出来てしまったことが何度もありました。
京都内、高野山、様々なところに足を運ばれる猊下にお供させていただき、
それほどに人を魅了する絵画の数々が、猊下のスケッチブックには収められていました。
対象に向き合う猊下のお背中は、悉有仏性や諸行無常を悟り、あるがままの自然
あるいは建築物に調和し、「対話」しているかのようだったと記憶しています。
それは僕にとって宝と思えた時間の記憶です。
いまだコロナ感染症収束への出口が見えないなか、
お寺には「動と集」の働きかけは出来ませんが、
いつでも「静と個」に光があたる居場所があります。
春の境内で写生会をしませんか。
今月24日(日)14時からの花まつりのなかで行います。
絵の得手不得手を気にすることなく、お好きな場所を探して
自由に描いてもらえたら嬉しいです。もちろん堂内もOKですよ。
(スケッチブックなど必要なものを各自持参)
興味ございましたら、電話にてお問い合わせ下さい。
ささやかですが花まつりのお土産をご用意しております。
(☎0266-23-6156)
外は香り優しく豊かに彩る季節を迎えております。
お出掛けして、春の風にあたりましょう。
合掌