迎春 癸卯
令和5年、西暦2023年を迎えました。
今年は癸・卯の年。
癸は十干最後の節目、収まりゆく年、始まりが見える年。
昨年は、「動く、挑戦」を課題に挙げました。
自身振り返れば、同じテーマを掲げる人とのご縁に恵まれた年でした。
私とは比較にならないほど強い意思をもって、大きな目的に向かい動き、
挑戦することを声高らかに宣言した人たちがいて、その発想力、行動力、
リスクに立ち向かうパワーに近くで触れさせていただきました。
やがて、その意思が大河となっていく様子も見ることができました。
いままで見れることのなかった景色を見ることもできました。
なにより実感したことは、意思に惹かれ人が結束することの尊さです。
海の向こうでは、いまも戦争が続いています。
こどもたちに聞きました。
—なぜ戦争していると思う?—
こどもはこう答えました。
「自分たちが正義だと思っているから。」
なるほど、自分達を正義と呼びかけ、相手を悪と位置付けているのか。
確かに、これも人が結束する理由のひとつではあるが・・・。
しかし、これは戦争がなくならない理由のひとつともなるだろう。
この世は表と裏、陰と陽が存在し成り立っています。
そこに区別や差別が生まれます。
たとえば、陰と陽や善と悪みたいな区別を、相手との間に設けてしまう。
これは、実は迷いのもと。
本当は、「自分の内側」にそれを見出さなくてはならない。
私達はいつも人が創った価値に翻弄され、評価に囚われて、
いつしか自分の色を決めつけている。
人と比べて、自ら多くの迷いを創り出している。
神仏のなかに生かされている命は、
みな等しく、「表と裏」を併せ持ち、双方を見せて生きています。
誰にも善と悪があり、どちらかだけということはないのです。
清濁併せ吞み、そこに信心が伴い健やかな力となります。
小欲は迷いを生み、大欲は結束を生み出します。
大欲は、言葉にならない感動を人と共有し記憶することができます。
奪えば争い、分ければ和合。
決めつければ一本道、譲れば可能性。
今年はどんな年になるでしょうか。
自分の表裏を謙虚に見つめながら、人と力を合わせて、
お知恵を借りながら、よき道を選択できる年でありたいと思います。
十干節目の年に、一度弱った世の中が再生していく姿が見える。
そう信じて、一人ひとりが日々精進していきたいものです。
そして卯の年。
うさぎはなぜ亀に負けたか。
うさぎは、自分と亀を比べ、本来の目的を失ったから。
亀は、丘の上に立つ一本の木を、ただひたすらに目指したのです。
多くの笑い、出逢い、まなび、
皆さまにとって悦び多き年となりますことをご祈念申し上げます。
合掌