言霊
未来に向けて何を語りますか。
言葉には力があると思います。
言葉は見えないのに、それが目に見える形となることは多々あります。
いつまでも残る言葉があります。
人の口から離れたそれは、消えてなくなるのではなく、人の心に残り、
また人を通じ、やがて自分に言葉として、あるいは形として返ってくることも。
言葉は生き物なのでしょう。
二人のご高齢の方がおられました。
ひとりは、大勢を前にして目的を達した喜びの言葉を語りました。
そして、これから先、さらにみんなと叶えたい、もうひとつの目標を語りました。
みんなの胸にはあたたかいものを感じたそうです。
求心力ある理想のリーダー像が浮かびました。
ひとりは、大勢を前に口癖のようにこう言います。
いまの時代は。いまの若い者は。
その先に続く言葉の多くは批判。
語られるのは未来への希望ではなく、過去のよき記憶。
みんなの心はとげとげしたものを感じるのです。
本人もいまの時代に生きている、生かされているではないか。
前者の言葉は感謝を含み、後者には不満が含まれていることを感じます。
片方は希望、もう片方には閉塞感を。
言葉には人を動かす力があります。
言葉には創造の力があります。
お釈迦様の説く「因果」の教え。
善因善果、悪因悪果。
この世に創造されたものや起こり得る事象は、心の姿とも言えます。
そして、言葉とは心が表れるもの。
昔から伝わる「言霊」とは、
人が重ねてきた言葉がいつか現実となる、言葉の霊力のことです。
夢を叶えた偉人の共通点とは、
具体的な言葉を持ち続けていたことなのかもしれません。
人が生きる力となった多くの言葉たちは、活かす力でもあり、
救いや良薬になれば、刃や毒にもなる。
目には見えない、香りもない、重さもない。
しかし、時間をかけて不思議と形として表れる言葉の力。
言葉は言の葉。命ある生きものなのでしょう。
合掌