届いてほしい祈り
元日に起きた能登半島地震により犠牲となった多くの方のご冥福をお祈りし、
被災された皆様におかれましては、心よりお見舞い申し上げます。
1月8日、午前8時、
観音堂において、筆をとり、祈りを写経に綴る「書初め」を実施しました。
お寺には仏さまがおられ、祈るための堂宇があります。
ともに被災地にむけて祈ろうとして下さる方をお呼びかけしたところ、
多くの方がご参集下さいました。
皆様は理趣経百字偈の写経に、被災地に向ける心を言葉にして添え、
私は皆様の祈りを背に感じながら、聖観音菩薩のもと護摩を修しました。
「祈れる場所ができて有難い」というお言葉をいただきました。
私は、みなとともに祈りたいと考えていたので、皆様の気持ち、
そのお姿こそが尊いものでした。
皆様がしたためて下さった祈りの写経は、すべて護摩の炎に焚き上げました。
観音さまが受けとめて下さったお一人おひとりの心が、被災地の方々の胸にまで
届いてほしいと思います。
そしていつか、それがかたちになってくれることを願います。
毎日の報道で知る犠牲者のこと、愛する家族を失い、心休まる居場所を失い、
その耐え難き辛さに耐えながら、厳しい避難生活をおくる人たちのこと。
被災地の深刻さは日々増すばかり。想像して胸が傷みます。
私は何のお役にも立てませんが、お寺から気持ち同じくする人たちとともに祈ります。
有志の義援金をつどって送金し、これから願う復興の一助にしてほしいと思います。
支援物資を届け、被災地で身を粉にして救援活動に尽くされている方々には
心より敬意を表するとともに、安全を祈念しつつ私たちの思いも託させて下さい。
抜苦与楽、現地での「救いの力」をお祈りしています。
無常の人の世は、「助け、助けられ」が不変の絆かと存じます。
お寺で仏さまに手を合わせ願いたいと思えば、いつでもお越し下さい。
無事に生活を送る私たちの命は、これまでに誰かが祈って下さった命です。
この先も、みなともに祈ることを努めとしてまいります。
合掌