秋へ
風に、はっきりと季節変わりを感じられるようになりました。
とても暑かった夏が過ぎてからも、長く残暑が続き体が堪えていたせいか、
なおさら、この涼しさが心地よいです。
これから秋が深まってゆくことを風が知らせてくれます。
お彼岸になり、境内では彼岸花がひとつふたつと姿を見せ始め、
赤く咲いた花が目に留まるようになりました。
お中日の日、檀信徒様の協力をいただき、境内清掃をしました。
ほぼ毎日、朝から欠かさず掃除はしているので、景観を美しく保つことに対して
おろそかにしたつもりはないですが、それでも後回しにしてしまう箇所があります。
昨秋から一年間手つかずにした本堂裏側の柵の整備を男性皆さまに頼りました。
女性の方は、経年劣化した参道石畳の継ぎ目にしつこく生えてくる草を
綺麗に取り除いて下さいました。
ご協力いただけることは有難いことですし、つどって奉仕作業につとめることは、
コミュニケーションの機会にもなり、皆さまにとって到彼岸の徳積みともなります。
貴重なお時間、お力添えをありがとうございました。
寺周辺、寺有地の草刈り作業はもうしばらく続きますが、境内の木々はこれから
枯れた葉を落としていき、辺りからは徐々に緑が減っていきます。
この夏も大いに楽しませてくれた美しい蓮の花は、いまはすっかり枯れ、
わびさびといいますか、趣のある姿に変じています。
客殿玄関では秋の風物詩、鈴虫の鳴き声が響いています。
その時の状態により鳴き声は変わるそうで、食事を与え大切に観察しています。
長くはない命です。行き交う人を癒す声を9月のうちは聞かせてくれるでしょうか。
今年は13の器で蓮を育てました。
花だけでなく、大きく立派な緑の葉がたくさん茂りましたが、すでにその色は褪せ、
多くは枯れていきました。
参道に並べていた蓮は、すべて本堂下に移しました。
これから葉が枯れてしまえば、茎を水面から少し残したあたりでカットします。
秋の終わりには、水を張った状態でシートを被せて冬を越す支度です。
暑さ寒さも彼岸まで、という先人の残した言葉には納得させられます。
お彼岸過ぎれば秋が進み、急に気温が下がり上着が必要になります。
近年、お寺では落ち葉の始末に追われては、あっという間に冬支度という印象。
短い諏訪の秋ではありますが、楽しむ視点、日々観察を忘れずにいたいものです。
話題が逸れますが、
海の向こうのメジャーリーガー、大谷翔平選手は、いま季節に例えるとなんだろう。
当然、秋や冬ではない。
秋冬に重ねた鍛錬と蓄えた知識が春に芽を出し、見えぬところで頑丈な根を張っている。
その後は栄養吸収を怠ることを知らない。
太くまっすぐに成長する幹は堂々たるもので、濃い緑の葉を茂らせて健康そのもの。
それに加えて、柳のようなしなやかさだってある。
陽の光を人一倍浴びて、なお栄養を吸収し続け、吠えるかの如く新鮮な酸素を
周囲に広く送り続けている。
まさにエネルギーが満ちている時。
そう、季節は夏。真夏にまぶしく聳え立つ、希望の大樹のようです。
真福寺の蓮は、今年56の花が咲きました。
大谷選手には、ぜひ56まで本塁打数を伸ばしてほしいなぁ。
合掌