自立~結~
2月15日はお釈迦様のご命日。
2月というと、お寺では涅槃会が浮かびます。
時期になると涅槃図をかけて、お釈迦様最期のご様子を拝みます。
このお寺でもおまいりの皆様と、お姿の近くでお経をお唱えします。
自灯明
お釈迦様の最後に残されたお言葉として伝わります。
「自らをよりどころとしなさい」
「自立」を説くお言葉です。
自立とは、ひとりで生きていくことではありませんよね。
親から離れても信用できる人がいて、頼りにできること。
人との助け合いの大切さを心得ていること。
そして、自分の考えを生き、よく努め、他人を真似る必要がないこと。
穏やかではないニュースが続き、何のために頑張っているのかわからない不安の
なかにいる気がしています。
常に貢献度を重んじ、自分自身をおいてけぼりにしていることに気付かなくなる。
情報を探っては、幸せであることを確かめるかのようにして、
また他人と自分を比較する先に幸せの価値基準があるかのように。
自立には、身近な幸せに「気付ける」ことがとても大切だと思うのですが、
なかなか分厚い雲に覆われ、見失っているような感覚があります。
このたび、当山で行われた涅槃会にお越しの方からお言葉をいただきました。
「落ちつかない気持ちを鎮めたいなと思っていた。お参りできてよかった。」
お参りの皆さん、どなたも同じではなく、それぞれにご苦労がお有りなんですよね。
そういったものにもきちんと向き合っていくための教えが仏教だと考えると、
自分をおいてけぼりにせず、時に周りの環境に頼り、癒し、整えていくことが、
とても大切なことだと思うのです。
自分と向き合い、自分を愛でることにより足るを知るに通ずる、
これは幸せに気付く術ではないでしょうか。
自分を愛でるその姿は、自ずと身近にいる人の喜びにもつながっていきます。
身近な人が喜び励まされていくことは、救いの連鎖を生む価値のあることです。
涅槃会の締めくくりに念珠繰りをしました。
これは、自分ひとりで唱えるお念仏では足りないから、
みんなで声を掛け合わせることで功徳を積み、願いを届けようとする結の姿です。
遥か昔の方が伝え残してくれた、人々の自立の姿であると思っております。
合掌
心身健康祈願大念珠繰り